雨と雪の日々。

日々の記録、粛々と。

自作小説の冒頭、参加してみた。

#自作小説の冒頭  今夜もおじさんは、そのまるこい背中を私に向けて眠りに入った。くうくうと、まるで子供のような寝息。私はそのリズムを子守唄のようにしてまどろむ。  おじさんの背中に寄り添ってパジャマの端っこをつまんでいると、夢のなかでも迷子にならなくてすみそうだから。

 

#自作小説の冒頭  時代が変わるとき、鳥の声も変わる。 おやじが云ったことだ。時々空を仰いでみるけれど、雲の切れ目や屋根の先、鳥のさえずりに変化を感じたことはない。  それでも俺は、時代の境目を知っている人間になりたい。だから空を眺める。ふと、電線に止まった灰色の鳩と目が合った。

 

#自作小説の冒頭  花びらがくすりと笑った。 鼻先を掠めるように落ちていく。まるで、想いびとにはぐらかされた気分になり、瞬間見とれていた自分を恥じてしまう。もちろん、人の思いなど、桜が知る由もないのだが。

 

#自作小説の冒頭  はじめて降りる駅。  すべてが霧に包まれていた。電車に乗っていたのは私ひとり。プラットホームから微かに輪郭がわかる駅舎に入ると、堅いものにぶつかった。腰高ほどある木の箱だった。 『免罪箱』と書かれた、上蓋の丸い穴に切符を投げ入れると、一気に視界が鮮明になった。

 

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