writone ボイスブック
【詩 Lime Season】 「六月、霧のなかに立つもの」 肌寒い朝が続いている。そう思って上着をひっかけて出かける。だいたい十時ごろから裏切られる。霧が晴れると暑くなる。少し悔しくなって、上着を脱ぐ。それでも、暑い。 暑いと熱い。気温と体温と、意識。…
「心の断捨離」 シンプルな心で生きる それは、純粋であるということ それは、まっすぐであるということ そして、強いということ シンプルな心で生きる それは、選ぶということ すこし、切ないということ いちばん、勇気のいること シンプルな心で生きる そ…
「水平線を突く」 果てはどこにあるのか見えるものなのか誰が決めるのか水平線のぼんやりに 指を差すやがて わずかなぶれの眩惑爪の欠片かと見紛うものが確かな速度をもって 迫りくる船だこの指を ものともせずその舟首を現し 白波を携えて ゆうたりと横を向…
【詩 Lime Season】「青空だから」駆け出す君の背中が 二度と振り向かない そんな不安が過るのは 遠すぎる青空のせい知らないうちに 冷めた横顔が 心に貼りついていた どこまでも どこまでも ついてくる雲の陰り 台無しになったスカイブルー空を破ってしまえ…